1.これは本当のお話です
未だかつてマラソン大会でレース途中、トイレに行くことなど一度もありませんでした。当然、スタート前にはトイレについて十分過ぎるほどの細心の注意を払っています。
「とくしまマラソン2018」の時もそうでした。ホテルでチェックアウトの前に最後のトイレ。徒歩5分、荷物預け場所に到着。荷物を預けた後、念のためもう一度トイレへ
2.判断に迫られました
時間も早かったのでBブロックの先頭に並ぶことができました。しかしスタートまでまだ40分はあります。天気予報では快晴。最高気温も20度前後になる見込み。当然、上半身はTシャツ一枚でした。ふと周りを見渡すと、何とここだけが日陰になっているではありませんか。折角の朝日をビルが遮っています。さすがに寒く、体を小刻みに動かしながら寒さを凌いでいました。
こんな時、一番の心配ごとはトイレです。もう一度行っておくべきか、止めておくか。悩みに悩んだ末、「せっかく確保したスタート位置をトイレに行くことで後方に並び直すのはもったいない」と判断し、トイレに行くことはしませんでした。
3.ところが・・・
ところがそれが裏目にでることとなりました。スタート時はそうでもなかった尿意が10㎞を過ぎた頃、だんだん意識し始め、気になりだすともうどうしようもありません。ゴールまでまだ30㎞以上は残っています。未だかつてレース途中にトイレに行くなど初めての経験です。それでも今回だけは行くしかありません。最初の仮設トイレには5~6人ぐらいが並んでいました。ここはやり過ごし、次の仮設トイレに。ここは2~3人ぐらい並んでいました。結構、仮設トイレが用意されていることに感動しました。先に行くごとに並んでいる人数は少なくなってきているので、次のトイレに期待してがまんしつつ走りました。
どうせトイレに行くのであれば、少しでもロスタイムを少なくしようと、走りながら頭の中でシュミレーションを行いました。
●まず、邪魔になるボトルポーチを外し手に持つ。
●その時、ペットボトルを逆さにし落とさないよう注意する。
●次はランニングパンツの紐をはずしておく。(蝶蝶結びの羽の部分)。
●仮設トイレのドアの前まで走りながらこれらの動作を済ませておく。
●空いているトイレが確認できたらすかさずドアを開け、足元にボトルポーチを置く。
●後は、ランニングパンツの紐の結び目を両手で外しランニングパンツを下す。・・・完璧です。
何回も何回も頭の中でシミュレーションを繰り返し、後は実行あるのみです。
見えてきました仮設トイレ。
列はありません。何と運がいいことでしょう。シュミレーションどおり行うこととしました。
●まずボトルポーチ。「カチ」、留め具を外しました。
●ペットボトルが落ちないよう注意し、左手で持つ。
●空いている右手で、ランニングパンツの紐を解く。
●仮設トイレのドアの前に到着しました。ここまでは順調です。
●ドアを開け、足元にボトルポーチを置き、ランニングパンツの紐の結び目を両手で外し、パンツを下ろす。
●ほとんどロスタイムはありません。小用を無地足すことができました。ここまでスムーズに進んだことに満足感でいっぱいでした。
さあ、ランニングパンツを上げて紐を結ぼうとした時でした。
え~。おったまげ~。何という事でしょう。ランニングパンツが濡れているではありませんか。それもかなり広い範囲で。あまりのショックに、いままでの満足感は吹っ飛びました。これはこれは恥ずかしいことです。どうしたらいいのでしょうか?
トラブルの対応まではシュミレーションに入っていませんでした。ランニングパンツの下げ方が不十分だったのでしょうか?
もうどうすることもできません。紐を結び、Tシャツを整え、ボトルポーチをセットし、もう一度確認しました。Tシャツが大き目であったことで、半分は隠すことができました。仕方がありません。そのままコースに戻ることにしました。幸いなことに全員が同じ方向を向いて走っているので、「気付く人はいないだろう」と勝手に決めつけました。
何回も何回もシュミレーションを行い完璧と思っていたことが、最後の最後にしくじるとは、・・・本当に自分のつめの甘さに腹立たしく思いました。もうこうなるとロスタイムが何分あったかなど気が動転し知る由もありません。
4.結果オーライ
それでもしばらく走ってみると先ほどまでの尿意もなくなり、心配ごとの一つが解消されていることに気が付きました。せめてもう一つも、と思ってランニングパンツを見てみると天気も良かったせいで、しっかり乾燥し見た目には分からなくなっていました。これで悩み事は全て解消され、ただひたすらゴールを目指して走るだけとなりました。
大会レース中にこんな思いをしたのは初めてでした。これもいい経験となりました。